「kintoneって最近よく聞くけど、一体何ができるツールなの?」
「Excel管理に限界を感じているけど、kintoneで業務改善できる?」
「導入したいけど、自社に合うか分からない…」
このような疑問や悩みをお持ちではありませんか?
kintone(キントーン)は、サイボウズ株式会社が提供するクラウドサービスであり、業務に合わせた様々なシステム(アプリ)を、プログラミングの知識がなくても簡単に作成できるビジネスプラットフォームです。
この記事では、kintoneの基本から活用方法、導入のメリット、そしてできないことまで、徹底比較しながらわかりやすく解説します。この記事を読めば、kintoneが自社の課題解決やDX推進に役立つかどうかの検討材料となるでしょう。
kintoneとは|わかりやすく解説
まず、kintoneがどのようなツールなのか、その基本概要と特徴、他のシステムとの違いについて見ていきましょう。
kintoneの基本概要と仕組み
kintoneは、業務に必要なアプリケーション(kintoneでは「アプリ」と呼びます)を、プログラミング不要で簡単に作成できるクラウドサービスです。顧客管理、案件管理、日報、ファイル管理、申請・承認フローなど、様々な業務に合わせたデータベースや業務システムを自社で構築できます。
その仕組みは、データを格納する「データベース機能」、業務プロセスを管理する「プロセス管理機能」、そして社内外のコミュニケーションを円滑にする「コミュニケーション機能」の3つが連携することで成り立っています。これらの機能がクラウド上で提供されるため、ユーザーは場所を選ばずにアクセスでき、リアルタイムでの情報共有が実現します。
キントーンと他システムとの違い
kintoneは、Excelやスプレッドシート、他のグループウェアや基幹システムと比較されることがあります。
- Excel/スプレッドシートとの違い:
- 同時編集・共有: 複数のメンバーが同時にデータを入力・編集でき、常に最新の情報を共有できます。Excelで起こりがちな「ファイルがロックされている」「どれが最新版かわからない」といった課題を解決します。
- データの一元管理: 散在しがちなExcelファイルを一元管理し、検索性やアクセス性を向上させます。
- プロセス管理: 申請・承認ワークフローなどを簡単に構築できます。
- グループウェアとの違い: スケジュール管理やチャット機能を持つグループウェアもありますが、kintoneは業務に特化したアプリを自由に作成できる点が大きな違いです。データベースとしての活用や業務プロセスの効率化に強みがあります。
- 基幹システムとの違い: 基幹システムは会計や人事など企業の根幹業務を担いますが、kintoneは現場の業務に合わせたシステムを柔軟に作成・改善できる点が特徴です。基幹システムではカバーしきれない現場の細かい業務や、頻繁に変化する業務への対応に適しています。
何がすごい?kintoneの特徴
kintoneが多くの企業に選ばれる理由は、その特徴にあります。
- 柔軟性の高さ: ドラッグ&ドロップの簡単な操作で、プログラミングの知識がなくても自社の業務にぴったりのアプリを作成・カスタマイズできます。業務の変化に合わせてスピーディーに改善を繰り返せる点が大きなメリットです。
- 開発スピード: システム開発会社に依頼すると時間と費用がかかるような業務システムも、kintoneなら短期間で構築できます。
- 豊富な機能と連携: データベース、プロセス管理、コミュニケーションといった基本機能に加え、プラグインやAPIを活用することで、外部のシステムやツールとの連携、さらなる機能の追加が可能です。
- 情報共有の促進: 部署やチーム、プロジェクト単位で「スペース」と呼ばれる情報共有の場を設け、コミュニケーションを活性化させます。コメント機能などもあり、リアルタイムなやり取りが可能です。
- 場所を選ばないアクセス: クラウドサービスなので、PCはもちろん、スマートフォンやタブレットからもアクセスでき、社外やテレワーク環境でも業務を進められます。

kintoneの機能・できること
kintoneには、業務効率化を実現するための様々な機能が備わっています。具体的にどのようなことができるのか見ていきましょう。
kintoneアプリの作成とテンプレート活用
kintoneの最大の特徴は、業務アプリを簡単に作成できる点です。ドラッグ&ドロップの操作で、必要な項目(文字、数値、日付、ドロップダウン、添付ファイルなど)を配置していくだけで、データベース型のアプリが完成します。
さらに、サイボウズやパートナー企業から業種や用途に合わせた100種類以上のアプリテンプレートが用意されており、これらを活用すれば、ゼロから作成する手間なく、すぐに利用を開始できます。もちろん、テンプレートを元に自社の業務に合わせてカスタマイズすることも可能です。
業務効率化を実現する機能一覧
kintoneには、業務効率化に役立つ機能が豊富に搭載されています。
- データベース機能: 顧客情報、案件情報、商品情報など、あらゆるデータを一元管理できます。検索、絞り込み、ソートも簡単です。
- プロセス管理機能: 申請・承認ワークフローを設定できます。誰がどの作業をすべきか、状況がどうなっているかが見える化され、業務の滞留を防ぎます。担当者への通知も自動化できます。
- リマインダー機能: 期限が近づいたタスクや必要な作業を担当者に通知し、対応漏れを防ぎます。
- コミュニケーション機能: アプリ内のデータに紐づけてコメントを書き込めるため、メールやチャットツールを探し回る手間なく、関連情報を集約できます。チームやプロジェクトごとに「スペース」を作成し、情報共有や議論の場としても活用できます。
- アクセス権管理機能: アプリやデータ項目ごとに、ユーザーや組織単位で細かくアクセス権を設定でき、セキュリティを確保します。ゲストユーザーを招待して、社外の協力会社などと情報共有することも可能です(スタンダードコース)。
顧客管理・データベースとしての活用
kintoneは、顧客管理(CRM)システムとしても非常に有効です。顧客の基本情報、商談履歴、対応状況、関連書類などを一元管理できます。営業担当者は、外出先からでもスマートフォンで顧客情報を確認し、日報を入力するといった活用が可能です。データが蓄積されれば、顧客分析や営業戦略の立案にも役立ちます。
顧客管理以外にも、様々な業務のデータベースとして活用できます。
- 案件管理: 商談の進捗、受注確度、見積もり情報などを管理
- 商品マスタ: 商品情報、在庫数などを管理
- 問い合わせ管理: 顧客からの問い合わせ内容、担当者、対応状況を管理
- 社員名簿: 社員情報、スキル、所属などを管理
ファイル・データ共有とアクセス管理
kintoneの各レコード(データ1件分)には、ファイルを添付できます。見積書、報告書、画像などの関連書類をデータと一緒に管理できるため、ファイルを探す時間を削減できます。
アクセス権を細かく設定できるため、必要なメンバーだけに情報を共有し、機密性の高い情報を守ることが可能です。「このファイルは営業部だけ」「この案件の情報はプロジェクトメンバーとゲストのA社だけ」といった制御が簡単に実現します。
グラフや見える化ツールとしての使い方
kintoneに蓄積されたデータは、簡単な操作でグラフ化できます。売上推移、案件の状況別件数、担当者別のアクション数などをリアルタイムに見える化することで、状況把握や意思決定のスピードを向上させます。集計やグラフ作成のためにExcelにデータを転記する手間が不要になります。

kintoneでできないこととは
非常に便利で自由度の高いkintoneですが、万能ではありません。標準機能だけではできないことや、限界もあります。
標準機能の限界と対応範囲
kintoneの標準機能は、一般的な業務の多くをカバーできますが、以下のような点は苦手とする場合があります。
- 複雑な計算や高度な分析: Excelの関数やマクロ、BIツールのような高度なデータ分析機能は標準では備わっていません。複雑な集計や統計処理には限界があります。
- デザインの完全な自由: 画面のレイアウトやデザインのカスタマイズにはある程度の制約があります。ボタンの配置や見た目をピクセル単位で調整するようなことは標準機能では難しいです。
- 大規模な基幹業務: 会計処理や生産管理など、非常に専門的で大規模な基幹システムの全ての機能をkintoneだけで完全に代替するのは難しい場合があります。
- オフラインでの利用: 基本的にクラウドサービスのため、インターネット環境がない場所では利用できません(一部、モバイルでのキャッシュ機能などを除く)。
作業や業種によって発生する課題
特定の作業や業種によっては、kintoneの標準機能だけでは対応しきれず、課題が発生することがあります。
- 大量データの高速処理: 何百万件といった超大量のデータを扱う場合、処理スピードが遅くなる可能性があります。
- 特殊な業界要件: 特定の業種に特有の複雑な業務ロジックや帳票レイアウトなどに標準機能だけで対応するのが難しい場合があります。
- 既存システムとの完全自動連携: 古いシステムや特殊なシステムとの連携には、追加の開発が必要になることが多くあります。
プログラミングや拡張機能が必要な場面
標準機能の限界を超える必要がある場合、プログラミングや拡張機能の活用が解決策となります。
- JavaScript/CSSによるカスタマイズ: JavaScriptやCSSを利用することで、画面の見た目や操作性を自由にカスタマイズしたり、複雑な入力チェックや計算処理を実現したりできます。これにはプログラミングの知識が必要です。
- プラグインの活用: サイボウズやパートナー企業が提供する「プラグイン」を導入することで、kintoneの機能を簡単に拡張できます。帳票出力、外部連携、入力支援など、様々な種類のプラグインが用意されています。プログラミング不要で機能追加できるものが多くあります。
- API連携: kintoneが提供するAPI(Application Programming Interface)を利用することで、他のクラウドサービスや自社の基幹システムなど、様々な外部システムとデータ連携させることが可能です。APIを活用した開発には専門的な知識が必要となります。
できないことを理解し、必要に応じてカスタマイズや連携を検討することが、kintoneを最大限に活用するポイントです。

kintoneの導入・運用の流れ
kintoneを導入し、効果的に運用していくための流れとポイントを解説します。
導入方法・サイボウズオフィシャルパートナーの活用
kintoneの導入は、サイボウズの公式サイトから直接契約する方法と、サイボウズオフィシャルパートナー経由で導入する方法があります。
- 直接契約: 無料お試し期間(通常30日間)を利用し、自社でアプリ作成や機能検証を行った上で導入を決定できます。シンプルな導入や、社内にkintoneの知識がある場合に適しています。
- オフィシャルパートナーの活用: パートナーは、kintoneの導入支援、アプリ作成代行、運用コンサルティング、カスタマイズ開発、連携サポートなど、幅広い支援を提供しています。自社だけで導入・運用するのが不安な場合や、高度なカスタマイズ、外部システム連携を検討している場合には、パートナーへの依頼が有効です。TOMOS Cloudもサイボウズオフィシャルパートナーとして、お客様のkintone導入を支援しています。
導入のステップとしては、①目的の明確化、②必要なアプリの洗い出し、③運用体制の決定、④無料トライアルでの検証、⑤契約・本番導入、という流れが一般的です。
運用・管理体制の構築方法
kintoneを導入して終わりではなく、継続的に活用し、業務改善に繋げていくための運用・管理体制の構築が重要です。
- 管理者の設定: kintone全体の管理を行うユーザー(システム管理者)を定めます。ユーザーの登録・削除、アクセス権の管理、プラグインの導入などを行います。
- アプリ作成・改修ルール: 誰がアプリを作成・変更できるのか、どのような手順で行うのか、といったルールを定めます。自由度が高い反面、無秩序にアプリが増えることを防ぐ必要があります。
- 活用促進: 社内での活用を促すための勉強会や情報共有の場を設けます。成功事例を共有したり、悩み相談を受け付けたりする担当者を決めるのも良いでしょう。
- 定期的な見直し: 業務の変化に合わせてアプリや運用ルールを見直し、常に最適な状態を保つようにします。
スマートフォンや社外利用への対応
kintoneはモバイルアプリ(iOS/Android)が用意されており、スマートフォンやタブレットからでも快適に利用できます。社外や移動中でも、データの確認、入力、承認、コミュニケーションが可能です。これにより、現場の作業員や営業担当者の業務効率が大幅に向上します。
ゲストスペース機能(スタンダードコース)を利用すれば、社外の協力会社や顧客など、kintoneを契約していないユーザーを特定のスペースに招待し、安全に情報共有や連携を行うことができます。
自社への導入事例と課題解決支援
kintoneは、業種や企業規模を問わず、多くの企業で導入されています。サイボウズの公式サイトでは、様々な導入事例が公開されており、自社と似たような課題をkintoneでどのように解決したのかを知ることができます。
導入を検討する際には、これらの事例を参考に、自社の業務にどのように活用できるか、どのような効果が期待できるかを具体的にイメージすることが重要です。また、オフィシャルパートナーは、これまでの支援経験に基づき、自社の状況に合わせた最適な導入プランや課題解決策を提案してくれます。

kintoneの価格とコストパフォーマンス
kintoneの導入を検討する上で、費用は重要な要素です。価格体系とコストパフォーマンスについて見ていきましょう。
月額料金・価格コースと費用内訳
kintoneの料金は、ユーザー数に応じた月額(または年額)のサブスクリプション形式です。主な価格コースは以下の2種類です。(※価格は変更される可能性があるため、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください)
- ライトコース: 月額1,000円/1ユーザー。利用できるアプリ数(〜200個)やスペース数(〜100個)に制限があります。また、外部サービスの連携やプラグイン及び拡張機能が利用できません。まずは基本的な機能から試したい、小規模なチームでの利用に適しています。
- スタンダードコース: 月額1,800円/1ユーザー。利用できるアプリ数(〜1,000個)、スペース数(〜500個)がライトコースに比べると拡充されている。また、プラグインや拡張機能、外部連携(API)を活用したい場合、スタンダードコースの選択が必須になります。ほとんどの企業はこちらのコースを選択しています。
最低10ユーザーからの契約となります。初期費用はかかりません。
その他、必要に応じてディスク増設オプションやセキュアアクセス(IPアドレス制限など)のオプション費用が発生する場合があります。
他クラウド製品やExcel管理との比較
kintoneの価格を、他のツールと比較してみましょう。
- Excel管理: Excel自体はライセンス費用がかかりますが、kintoneのような月額費用は基本的には発生しません。しかし、複数ファイル管理の手間、情報共有の遅延、属人化、データ消失リスクといった、目に見えないコスト(時間的コスト、機会損失コスト)が潜んでいます。
- 他のクラウド製品:
- Salesforceなどの高機能CRM: より多機能ですが、一般的にkintoneよりも高価で、導入やカスタマイズの難易度も高い傾向があります。
- 特定業務特化型SaaS: 特定の業務(例: 勤怠管理、経費精算)には非常に便利ですが、kintoneのように様々な業務アプリを自由に作成できる柔軟性はありません。複数のSaaSを組み合わせると、結果的にコストが高くなることもあります。
kintoneは、比較的安価でありながら、高い自由度と拡張性を持つ点がコストパフォーマンスの高さに繋がっています。
業務効率化によるコスト削減効果
kintoneの導入費用はかかりますが、それ以上に業務効率化によるコスト削減効果が期待できます。
- 作業時間の削減: データ検索、書類作成、集計作業、情報共有にかかる時間を大幅に削減できます。
- ミスの削減: 入力チェック機能やプロセス管理により、ヒューマンエラーを減らします。
- ペーパーレス化: 申請・承認やファイル共有を電子化することで、紙コストや保管スペースを削減できます。
- システム開発コストの削減: 自社で簡単にアプリを作成・改修できるため、外部へのシステム開発依頼にかかる費用と時間を削減できます。
- 意思決定のスピード向上: リアルタイムな情報の見える化により、迅速な判断が可能になり、ビジネスチャンスを逃しません。
これらの効果を金額換算することで、kintone導入の費用対効果を測ることができます。

kintoneアプリの使い方・カスタマイズ
kintoneの魅力であるアプリ作成とカスタマイズについて、具体的な方法を見ていきましょう。
ドラッグ&ドロップでアプリ作成する方法
プログラミングの知識がなくても、kintoneのアプリは簡単に作成できます。
- アプリ作成画面を開く: kintoneのポータル画面から「アプリを作成する」を選択します。
- 作成方法を選ぶ: 「はじめから作成」「テンプレートから作成」「Excel/CSVを読み込んで作成」などの選択肢があります。「はじめから作成」を選びます。
- フィールドを配置: 画面左側にある「フィールド」と呼ばれる入力項目(文字列、数値、日付、添付ファイル、ルックアップなど)を、右側のフォーム領域にドラッグ&ドロップで配置していきます。
- フィールドの設定: 配置した各フィールドの名前や必要な設定(必須項目にする、入力文字種制限など)を行います。
- アプリを公開: 設定が完了したら、「アプリを公開」ボタンをクリックすれば、すぐに利用を開始できます。
この簡単な操作で、自社の業務に合わせたデータベースや入力フォームが完成します。
JavaScriptによる開発・拡張機能追加
より高度なカスタマイズを実現したい場合は、JavaScriptやCSSを利用します。
- 複雑な計算: 標準機能では難しい計算ロジックを実現します(例: 見積もり金額の自動計算)。
- 入力制御: より細かい入力チェックや、入力内容に応じた項目の表示/非表示制御を行います。
- 外部API連携: kintoneのデータを外部のWebサービスと連携させ、kintone上で機能を呼び出すなどが可能です(例: 住所入力で地図を表示)。
- 画面デザインの変更: ボタンのデザイン変更や、標準とは異なるレイアウトの実現など、見た目を大きくカスタマイズします。
これらの開発にはJavaScriptの知識が必要ですが、実現できることの幅が大きく広がります。自社での開発が難しい場合は、オフィシャルパートナーに依頼することも可能です。
また、プラグインを導入することでも機能を拡張できます。プラグインはJavaScriptを直接書かなくても、設定画面から機能を追加できるものが多く、手軽にカスタマイズしたい場合に有効です。
業務や部門別に最適なアプリのカスタマイズ事例
kintoneは、様々な業務や部門に合わせてカスタマイズすることで、その真価を発揮します。
- 営業部門: 顧客管理アプリに案件管理アプリを連携させ、顧客情報から関連する商談状況を一覧表示。地図連携プラグインで訪問ルートを効率化。
- 開発部門: プロジェクト管理アプリでタスク、進捗、課題を管理。工数入力アプリと連携し、プロジェクトごとのコストを見える化。情報共有スペースで仕様に関する議論を集約。
- 管理部門: 申請・承認アプリ(交通費精算、稟議書など)でワークフローを電子化。社員名簿アプリで入社・退職手続きを管理。契約書管理アプリで期限管理を自動化。
- 製造現場: 日報アプリで作業内容や出来高を入力。品質管理アプリで不良品の情報を写真付きで共有、改善に繋げる。設備管理アプリで点検記録を管理。
このように、部門ごとの業務フローや必要なデータ項目に合わせてアプリを作成・カスタマイズすることで、業務の精度とスピードを向上させることができます。

kintoneの活用事例・導入効果
実際にkintoneを導入した企業は、どのような効果を得ているのでしょうか。具体的な活用事例を見ていきましょう。
さまざまな業種の導入事例
kintoneは、特定の業種に限定されず、幅広い分野で活用されています。
- 製造業: 生産管理、品質管理、在庫管理、設備保全、日報管理
- 建設業: 案件管理、現場写真共有、作業員管理、安全パトロール記録
- 小売業: 店舗日報、顧客管理、在庫確認、複数店舗間の情報共有
- サービス業: 予約管理、案件進捗管理、顧客サポート履歴、スタッフシフト管理
- IT業: プロジェクト管理、問い合わせ管理、開発ドキュメント管理、工数管理
- 不動産業: 物件情報管理、顧客管理、契約進捗管理、内見スケジュール管理
- 士業: 顧客管理、案件管理、書類作成進捗管理、担当者割り当て
- NPO/自治体: 会員管理、イベント管理、申請受付、ボランティア管理
サイボウズの公式サイトには、これらの業種における具体的な導入事例が数多く掲載されています。自社の業種に近い事例を参考にすることで、活用のヒントが得られます。
営業・顧客管理・案件管理での活用
営業部門での活用は、kintone導入の代表的な事例の一つです。
- 脱Excelでの顧客管理: 属人化しがちなExcelの顧客リストをkintoneに移行し、チーム全体で情報を共有。担当者変更時の引き継ぎもスムーズに。
- 案件の見える化: 商談のフェーズ、受注確度、予定金額などを管理し、営業パイプラインをリアルタイムに把握。グラフ機能で状況を見える化し、営業会議の効率化にも繋がります。
- 営業日報の効率化: スマートフォンから簡単に日報を入力。顧客情報や案件情報と紐付けることで、活動履歴がデータとして蓄積されます。上司はコメント機能でリアルタイムにフィードバックできます。
- 見積書作成の効率化: kintone上で見積もりアプリを作成し、商品マスタからデータを引用して簡単に見積書を作成、承認フローまで回すといった活用も可能です。
申請書類、日報、ファイル管理の実例
バックオフィス業務や現場の業務においても、kintoneは幅広く活用されています。
- ペーパーレス申請・承認: 交通費精算、稟議書、休暇申請などをkintoneアプリ化。申請から承認までのプロセスが見える化され、スピードが向上します。紙の書類を探したり、ハンコのために出社したりする手間がなくなります。
- 日報・報告書: 作業日報、店舗日報、保守点検報告などをkintoneで管理。テンプレートを用意すれば入力も簡単で、データが蓄積されることで集計や分析も容易になります。写真添付も可能です。
- ファイル・ドキュメント管理: 取扱説明書、提案資料、契約書、議事録など、様々なファイルを関連する情報(顧客、案件、プロジェクトなど)と紐付けて一元管理できます。「あの資料どこだっけ?」と探す時間を削減します。
複数部門・チーム・スペースでの情報共有
kintoneは、部門横断のプロジェクトやチームでの情報共有にも有効です。
- スペース機能の活用: プロジェクトやテーマごとに「スペース」を作成し、関連するアプリ、スレッド(掲示板)、ファイルなどを集約できます。メンバー間のコミュニケーションが活性化し、情報の散逸を防ぎます。
- 部門間連携の促進: 例えば、営業部門が受注した案件情報を、kintoneを通じて開発部門や製造部門にスムーズに引き継ぐといった連携が可能です。部門間の壁を取り払い、業務フロー全体の効率化に繋がります。
- 全社ポータルとしての利用: kintoneのポータル画面をカスタマイズし、社内へのお知らせや必要なアプリへのリンクを集約することで、全社員向けの情報共有基盤としても活用できます。

kintoneと外部ツール・システム連携
kintoneは単体でも強力なツールですが、外部のツールやシステムと連携することで、さらに活用の幅が広がります。
外部システム・RICOHとの連携方法
kintoneは、様々な外部システムと連携することが可能です。特に、複合機メーカーであるRICOHとは、連携ソリューションが提供されています。
- RICOH複合機との連携:
- 複合機でスキャンした紙の書類(注文書、請求書など)を、OCR機能でデータ化し、直接kintoneのアプリに登録できます。紙書類の入力にかかる手間を大幅に削減します。
- kintone上のデータを、複合機から直接帳票として印刷するといった連携も可能です。
RICOH以外にも、会計ソフト(freee、MFクラウドなど)、チャットツール(Slack、Teamsなど)、MAツール、BIツールなど、多くのシステムとの連携が、プラグインやAPIを通じて実現されています。
プラグイン・API活用で実現できること
プラグインとAPIは、kintoneの連携と拡張において重要な役割を果たします。
- プラグイン: プログラミング不要でkintoneに機能を追加できる仕組みです。
- 帳票出力プラグイン: kintoneのデータをExcelやPDFの書類フォーマットに出力。
- 連携プラグイン: 特定の外部サービス(例: Google Calendar、Dropbox)と簡単に連携。
- 入力支援プラグイン: 郵便番号からの住所自動入力など、入力を補助。
- 集計・グラフ強化プラグイン: より高度な集計やグラフ作成を可能に。
- API (Application Programming Interface): kintoneのデータを外部のプログラムから操作するためのインターフェースです。
- 基幹システム連携: 自社の基幹システムとkintone間でデータを同期。
- 独自システム開発: kintoneをバックエンドのデータベースとして活用し、自由なフロントエンド(Web画面など)を開発。
- 外部サービスとの柔軟な連携: プラグインが用意されていないサービスとも、APIを利用して連携を開発。
APIの活用には開発が伴いますが、実現できることの自由度は格段に上がります。
社内外コミュニケーション・データ連携
kintoneをハブとして、社内外のコミュニケーションやデータ連携を円滑にすることができます。
- 社内コミュニケーション: kintoneのスペースやコメント機能に加え、SlackやTeamsといったチャットツールと連携し、kintoneの更新通知をチャットに送ったり、チャットでのやり取りをkintoneに記録したりできます。メールでのやり取りを減らし、情報共有のスピードを上げます。
- 社外との連携: ゲストスペースを活用したり、API連携で外部パートナーのシステムとデータをやり取りしたりすることで、社外のメンバーともスムーズに連携できます。例えば、顧客向けのポータルサイトをkintoneと連携させて構築することも可能です。
- データ連携による一元管理: 複数のシステムに散在しているデータをAPIでkintoneに集約し、一元管理を実現します。kintoneを見れば必要な情報がわかる状態を構築できます。

kintone導入時の悩み・課題と解決策
kintoneは便利なツールですが、導入にあたって悩みや課題が生じることもあります。よくある悩みとその解決策を見ていきましょう。
よくある導入悩みと対策
- 「何から始めればいいかわからない」
- 対策: まずは課題を明確にし、導入目的を設定します。無料トライアルやセミナーを活用し、kintoneで何ができるかを理解しましょう。スモールスタートを心がけ、まずは特定の部署や業務から試してみるのがおすすめです。オフィシャルパートナーに相談するのも良いでしょう。
- 「アプリ作成が難しいのでは?」
- 対策: テンプレートを活用したり、簡単なアプリ(例: 日報、タスク管理)から作成したりしてみましょう。ドラッグ&ドロップの操作は直感的です。サイボウズが提供する学習コンテンツ(ヘルプ、動画)も豊富です。
- 「社内に浸透しない、使ってもらえない」
- 対策: 導入前に現場のメンバーを巻き込み、必要な機能や使いやすさについて意見を聞きましょう。導入後も、使い方の勉強会を開いたり、活用が進んでいる部署の事例を共有したりして、メリットを伝える努力が必要です。運用ルールを明確にし、管理体制を整えることも重要です。
- 「費用対効果が不安」
- 対策: 導入前に、kintoneによってどの業務がどれくらい効率化され、どのくらいの時間やコストが削減できるかを試算してみましょう。導入事例を参考に、具体的な効果をイメージします。スモールスタートで効果を確認しながら、徐々に活用範囲を広げていく方法もあります。
契約・運用・サポート体制のポイント
kintoneをスムーズに導入・運用するためには、契約やサポート体制も重要です。
- 契約: 利用するユーザー数、必要な機能(スタンダード/ライト)、オプションを検討し、自社に合ったプランを選択します。年額契約の方が月額より割安になる場合があります。
- 運用体制: kintoneのシステム管理者、アプリ作成の担当者、社内への活用推進担当者など、役割分担を明確にします。運用ルール(アプリ作成基準、データ入力ルールなど)を定め、周知することも大切です。
- サポート体制:
- サイボウズのサポート: ヘルプページ、コミュニティ、電話やメールでの問い合わせ窓口が用意されています。
- オフィシャルパートナーのサポート: 導入支援から運用コンサルティング、カスタマイズ開発、社内教育まで、手厚いサポートを受けられます。自社だけでの運用に不安がある場合は、パートナーの活用を検討しましょう。
必要な知識・資料・動画サンプルの活用
kintoneを使いこなすためには、ある程度の知識が必要ですが、学習のためのリソースは豊富に用意されています。
- サイボウズ公式サイト:
- kintoneヘルプ: 機能の使い方や設定方法が詳細に解説されています。
- kintone活用Tips: 具体的な業務での活用アイデアやアプリ作成のヒントが多数掲載されています。
- 導入事例: 他社の活用方法や効果を知ることができます。
- セミナー・イベント情報: kintoneの基本から応用まで学べるセミナーが無料・有料で開催されています。
- kintone hiveなどのイベントレポート: ユーザー事例の発表が見られます。
- 動画: YouTubeのサイボウズ公式チャンネルなどで、使い方や活用事例を紹介する動画が公開されています。操作を視覚的に理解するのに役立ちます。
- アプリテンプレート・サンプル: kintone内で提供されているテンプレートや、連携サービスのサンプルなどを実際に触ってみることで、理解が深まります。
- コミュニティ: kintoneユーザー同士が情報交換できるオンラインコミュニティも存在します。
これらの資料やサンプルを積極的に活用し、必要な知識を習得していくことが、kintone導入成功の鍵となります。

まとめ
kintoneは、プログラミングの知識がなくても業務アプリを簡単に作成・カスタマイズできる強力なクラウドサービスです。顧客管理、案件管理、日報、申請業務など、企業内の様々な業務を効率化し、情報共有を促進します。
標準機能でも多くのことができますが、できないことや限界も存在します。しかし、JavaScriptによるカスタマイズやプラグイン、API連携を活用することで、さらに高度な機能や外部システム連携を実現できます。
導入にあたっては、目的を明確にし、運用体制を整え、必要に応じてサイボウズオフィシャルパートナーの支援を活用することが成功のポイントです。
Excel管理の限界を感じている企業、業務の見える化や効率化を進めたい企業、DXを推進したい企業にとって、kintoneは非常に有効なツールとなり得ます。
TOMOS Cloudでは、kintoneの導入支援からアプリ開発、運用サポートまで、お客様の課題解決を支援しております。kintoneの導入をご検討中でしたら、ぜひお気軽にご相談ください。
無料トライアルや資料請求も可能ですので、まずはkintoneの世界に触れてみてはいかがでしょうか。
